オズワルドには、以前ソ連へ亡命していた時期があり、妻はロシア人である。オズワルドが亡命中、ソ連のスパイ組織KGBにリクルートされ、ソ連のスパイとして米国に帰国した事は容易に推測が付く。妻はオズワルドに随行して来たKGBの監視員であり、「妻」という立場なら誰も怪しまない。そのオズワルドが米国に近いメキシコのソ連大使館に出入りしていた。これは常識的に簡単に理解出来る。諜報の世界では日常的な出来事である。
そして米国の敵国であったソ連が、米国大統領ケネディ暗殺に関与していた・・これは、ケネディ暗殺の真犯人を隠すためのカモフラージュとしては一般的には役に立つ。真犯人が米国VSソ連という図式でケネディ暗殺を一般市民に「納得」させようとした事、誤魔化そうとした事は、やはり常識的なフレームアップ=捏造のテクニックでしかない。
問題は、オズワルドがなぜニューオーリンズにまで来てから姿を消しているか、である。メキシコに行くなら、ニューヨークからでもワシントンからでも直行便が出ている。ニューオーリンズとメキシコのソ連大使館、ケネディ暗殺、これを結ぶ「線」が見えて来なかった。
同じ事は、ブッシュ大統領の部下で、ブッシュの命令で敵国イランに武器を密売していた、CIA長官ウィリアム・ケーシーが暗殺されたケースでも存在した。多忙なケーシーは、なぜか何度もニューオーリンズに姿を現していた。CIA長官暗殺とニューオーリンズ、これを結び付ける「線」も見えて来なかった。
オズワルドはケネディ暗殺直前、ニューオーリンズの繁華街にあるワールド・トレード・マートビルに姿を現す。そこで消息を絶つ。
このビルにはFBI第5管理部門が入っており、カナダのウィスキー帝国の王=ブロンフマンが事務所を構えていた。
ソ連スパイのオズワルドが、2重スパイとしてCIAに関与していたのであれば事態は分かりやすい。しかしなぜFBIなのか。しかもそこにカナディアン・マフィアのブロンフマンがなぜ関与しているのか。
さらにこのビルにはルイス・モーティマー・ブルームフィールドが事務所を構えていた。世界最強のスパイ組織=イスラエルのモサド、映画007のモデルになっている英国のスパイ組織MI6、さらに米国CIAに対し、スパイ、暗殺、テロの「技術指導」を行ってきたスパイ組織の「育ての親」ブルームフィールドである。
こうしたスパイ組織に「技術指導」を行ってきた「スパイのボス」としては、イスラエル建国者の1人アイゼンベルグやカナディアン・マフィアのブロンフマンが居る。しかしブロンフマンもアイゼンベルグもビジネスマンであり、自分のビジネスに敵対する相手に対してテロを加えるだけであり、日頃は温和な商売人である。
しかし、ブルームフィールドは違っている。ビジネスや金には関心がなく、ひたすらテロ、スパイ、殺人に生きがいを見出しているタイプの人間であり、しかも各国の軍指導部がブルームフィールドに「指導を依頼」する程、ブルームフィールドは政治、経済、軍事戦略に高い分析力を持っている。ブルームフィールドのように、ヨーロッパ中世1000年のスコラ神学、古代バビロニアからのグノーシス哲学の分野で、即日大学の教壇に立ち講義を担当出来る程の冷静沈着な哲学者でなければ、凶暴な殺人者にはなれない。ヨーロッパ中世1000年の政治権力を巡る権力闘争の権謀術数の歴史が、ブルームフィールドに対し現代の傑出した軍事戦略家の能力を与え、世界各国に戦争を引き起こす「工作」の能力、大量虐殺者の才能を与えている。
ニューオーリンズにおける、このブルームフィールドとFBI、ブロンフマンを結ぶ「線」もほとんど迷宮入りに近かった。
答えは全く別の方向から現れた。
カーギル社、ドレフュス社等、世界の穀物貿易の7割以上を独占する穀物商社の流通ルートを調べると、トラックを使用した穀物輸送は極めて割高で、鉄道輸送もコスト高である事が分かる。世界中で穀物貿易は、河川等の水路を使った水上輸送が主力を担っている。米国内陸部の河川輸送のルートは、カナダの5大湖周辺の穀物生産地帯を源流とし、様々な河川が分岐しながら、最終的にはミシシッピ河に流れ込む形を取っている。穀物倉庫はこの河川輸送ルートに沿って作られ、カナダの穀物は米国の内陸を通過し、ミシシッピ河を下りながら米国の穀物と「混ぜ合わされる」。米国、カナダの国境は、穀物輸送にとっては無意味である。
米国、カナダの穀物は、ミシシッピ河がメキシコ湾に注ぐ出口、ニューオーリンズに集まる。そしてニューオーリンズには、メキシコを始めとした中南米諸国の穀物、野菜、果実、コーヒー、麻薬がメキシコ湾を通過し集荷されて来る。
かつてフランス領であったニューオーリンズでは、ドレフュス等のフランス系企業が強い権限を持ち、フランス国内で精製され、アムステルダムから出港するヘロイン、コカイン等の麻薬が米国に入る窓口がニューオーリンズである。いわゆるフレンチ・コネクションである。
カナディアン・マフィアのブロンフマンは、ニューオーリンズでウィスキー用の大麦、麻薬を集荷売買していた。
1980年代まで、中南米諸国は一貫して軍事独裁政権が政治を支配し、米国の穀物商社が経済を支配して来た。中南米の穀物、野菜、果実を極めて安価に穀物商社が買い取る事が出来る背景には、穀物商社の経営する大規模農場で働く農民の安価な賃金があり、余りに低い賃金に対し農民が抗議すると、穀物商社の代理人として軍事独裁政権が武力を使い、農民を弾圧するという構図が継続して来た。反抗的な農民を日常的に監視し、最終的には誘拐し殺害する等の政府によるテロは日常的であった。
中南米全域のバナナの「奴隷農園」を経営する、UF=ユナイテッド・フルーツ社=チキータバナナの監視・テロ組織がそのままCIAの下部組織であったように、穀物商社とCIA等の諜報機関は中南米の農場経営において、一体化して来た(注1)。
1920年代の米国禁酒法時代、ブロンフマンの部下であったエドガー・フーバーは、第二次世界大戦後、長期間に渡りFBI長官を務めていた。中南米から穀物、麻薬の売買交渉に現れる中南米マフィア、軍事独裁政権の軍人と交渉するブロンフマンの片腕として、FBIが睨みを効かせ.臨席する事は当然であった。中南米マフィア、軍人が「逆らえば」麻薬密売で逮捕し、安価に穀物、麻薬をブロンフマンに売ってくれればFBIは逮捕しない事になる。
そして、CIA育ての親のブルームフィールドも臨席し、中南米のマフィア、軍人を問い質し、中南米各国の農場経営の「維持」のため、状況に合わせ必要な兵器、軍人、テロリスト、諜報システムを「調達」し采配していた。そのために、このニューオーリンズのワールド・トレード・マートビルが使用されていた。
また、ブロンフマンを代理人としていた穀物商社カーギル、ドレフュスの最大の取引相手ソ連との交渉は、このビルに来訪して来るメキシコのソ連大使館の人間と行われていた。このビルは、敵国ソ連への「闇のトンネル」であった。
オズワルドが暗殺したとされるケネディも、また父の代からブロンフマンの部下であった(注2)。ケネディはマフィアへの取締りを強化し、「マフィア撲滅」のスローガンを掲げていた。暗殺事件当時、ブロンフマンの資金源であるイスラエルのランベール銀行が経営するイスラエル最大の軍事産業アイゼンベルグが、中国に核兵器技術を売ろうとしていた。ケネディは中国の核武装に強く反対し、中国の核施設に対し戦闘機による先制攻撃を立案していた。ケネディはボスのブロンフマンを裏切っていた。ボスへの裏切りには「死」という過酷な制裁を加えるのがマフィアである。
ニューオーリンズからメキシコのソ連大使館へ暗殺者オズワルドの「歩いた道」は、カーギル、ドレフュスの穀物商社の穀物取引の道、ウクライナ・マフィアの道であった。
※注1・・UF社は現在、ブッシュ大統領一族の銀行リーマン=ゴールドマン・サックスに買収され、その傘下にある。買収される際、買収に激しく抵抗したUFの社長は、高層ビルの窓ガラスを突き破り、何者かによって窓外に突き落とされ殺害されている。余りに高層からの墜落死であったため、死体は赤い複数のダンボールの切れ端のようであったと言われている。犯人は現在も不明であり、ブッシュはこの他殺の後、簡単にUFを買収した。
なお、買収の際のブッシュ側の弁護士ケネス・ビアルキンは、イスラエルの軍事産業アイゼンベルグの顧問弁護士であり、ライブドア堀江の顧問弁護士であった。堀江の部下の証券会社副社長は誰に殺害されたのであろうか?
また、ゴールドマン・サックスについては拙稿「郵便局=北朝鮮」を参照下さい。
※注2・・拙稿「既に世界帝国は完成している」等を参照下さい。


