中島彰著「全核兵器消滅計画」講談社
東大の小柴昌俊教授がノーベル物理学賞を受けた事で一躍有名になったニュートリノ。宇宙から降り注ぐ、ほとんど質量の無い粒子ニュートリノはこれまでは「理論上存在する」かも知れないと言われて来た。
小柴氏は実験により、それが存在する事を証明した。それが受賞理由だがニュートリノが何の役に立つのか?とマスコミに質問され小柴氏は「何の役にも立たない」と断言していた。すぐに金儲けやビジネスに役立たない基礎科学研究に資金を出そうとしない日本政府の姿勢に、長年腹立たしい思いをしてきた研究者としては当然の発言だろう。
結局、基礎科学の特許の多くは米国が持ち、日本がどんなにコンピューター製品を輸出して利益を上げても、莫大な特許使用料を米国に支払い、利益を米国に吸い上げられる構造になっている。日本政府の「研究予算」の在り方にはひたすら目先の金儲けしか頭に無いこの国の「浅ましさ」が良く出ている。
しかし、ニュートリノには実際には利用価値があった。ニュートリノは極めて微細で質量が無に近いため、あらゆる物体の中をスムーズに通過してしまう。しかも一定距離、時間の間、他の物体の中を通過するとニュートリノの一部が中性子に変化する事が分かっている。
もし地球の裏側からニュートリノを一定量、地球の向こう側にある核ミサイルに向けて発射すると、ニュートリノは地球のマグマや地殻をスムーズに通過し、さらに軍事施設の強固な警備体制も通過し核ミサイルの中に侵入する。
計算的に侵入時にニュートリノが中性子に変化するよう設定しておく事はある意味単純計算の問題であり、ミサイルに入り込んだニュートリノ=中性子は核兵器のウラニウム、プルトニウムと反応を起こし、小規模の核爆発を順次起こす。
ウラニウム等は「一斉」に爆発しなければ殺人兵器としての爆発力は手に入らない。ニュートリノにより順次、小爆発を起こした核兵器は「既に爆発済」になり、兵器としては使用不可になる。
しかも、ニュートリノにより小爆発を起こした核ミサイルは、その爆発でミサイルそのものが破壊され、発熱によりウラニウムとプルトニウムが燃焼、蒸発し、飛び散ったプルトニウム等による放射能汚染は有り得なくなる。
全ての核兵器の無理矢理、力づく?の、廃絶がニュートリノの唯一の利用法なのだ。
かつて石油に代わる植物性エネルギーの開発を行った研究者等は石油業者から命を狙われ、様々な政治圧力で潰されて行った。画期的な技術が「闇に葬られない」ためには、皆がその技術について知り「葬むる事が不可能な」状況を、先に作り出してしまうしかない。
核兵器全廃技術であるニュートリノを紹介した本書の宣伝を是非乞いたい。