ページトップに、最新記事が表示されていないケースがあります。右側の記事一覧から最新の日付の記事のタイトルをクリックして下さい。

2013年12月25日

ギョウザの王将・前社長の射殺事件と、猪瀬・東京都知事の辞職問題は連動している


 日本には、表側の世界に出て来ない「闇経済」が、GDPに迫る500兆円規模で存在している。

それは、「魚の先物市場」をめぐり形成されて来た。

原油や小麦の先物市場は世界中に存在しているが、魚の先物市場は世界でも日本だけにしか無い。日本の闇経済の中にしか無い。


 小麦を使いパンを製造する製パン業者は、3ヶ月後6ヶ月後に小麦の値段が極端に上がる事を恐れる。材料費が上がると製パン業に支障を来たす事になる。そのため、仮に現在1kg=100円の小麦を、6ヶ月後に105円で買う契約を行う。上乗せ分の5円は本来、現在100円の小麦を購入し、保管しておく倉庫業者用の費用でもあった。この契約が先物取引となる。

そして、6ヶ月後には小麦が95円に値下がりすると予測した金融業者が、製パン業者と105円で先物契約し、6ヶ月後に予測が的中すれば、6ヶ月後95円で小麦を買い、製パン業者に契約通り105円で売り、10%余りの利益が得られる。こうして倉庫業者ではなく、投機で利益を得ようとするギャンブラーが先物市場に出現する。

さらに6ヶ月後には、金融業者はわざわざ95円で小麦を買って製パン業者に小麦を渡したりはしなくなる。市場では小麦は自由に買えるのだから、欲しければ製パン業者は自分で小麦を買えば良い。金融業者は、105円マイナス95円の差額10円を利益として製パン業者から入手する「だけ」になる。逆に小麦が140円に値上がりしていれば、金融業者は105円との差額35円を製パン業者に支払う。製パン業者は、金融業者から入手した35円と自己資金105円で小麦を買う。製パン業者は小麦の値上がりで経営に打撃を受けなくて済む事になる。

こうして先物市場は、やがて小麦の実物の「やり取り」とは全く関係の無い、紙の上の契約と、10円または35円の金銭の清算だけの取引になる。

先物市場は、純粋なギャンブルになる。


 第二次世界大戦後、日本は原油の大部分を米国から輸入するようになる。輸入した原油から石油化学製品を製造し、また原油を精製してガソリン等を製造する業者にとって、原油価格の変動、原料価格の変動は、どうしても避けたい事であった。この石油業界の不安定さには、戦争で米国に負け、原油を米国から「だけ」輸入する事情から、さらに拍車が加わった。

この不安定さを解決して来たのが、安価な時に原油を購入備蓄し、高価になれば放出し、また過剰に生産されたビニルやポリエチレン等の石油化学製品の在庫を一括して製造業者から買い取り保管し、市場で石油化学製品が品薄になると放出するという、先物業者の役割を果たして来た「業転」と呼ばれる、日本の原油先物業者であった。もちろん日本に正式に原油先物市場が開設されるのは2000年代に入ってからであり、この業転はあくまで非合法な「もぐり」業者であった。

世界の経済大国となって行く日本の膨大な原油取引を、事実上仕切る、この業転は、莫大な取引量を持つようになる。

そして先物業者の通例に従い、この業転は紙の上だけで6ヶ月後にポリエチレンを何万円で売る、買うと契約し、期日に金銭だけで決済する闇の投機資金業者=ギャンブラーとなって行く。石油製品等の売り買いは、実態的には伴わなくなって行く。

「実態の品物の取引」は伴わないため、商品は魚でも野菜でも、「何でも良い」事になる。


 企業経営者が会社資金を使い込み、あるいは株式売買で大きな赤字を作り、株主総会で株主に吊し上げられる危機に陥った時、紙の上だけでポリエチレンを業転に10億円売った事にし、業転から10億円の代金支払いを受け、6ヶ月後に12億円でポリエチレンを買い戻す先物契約をする事で、企業経営者はその危機を乗り越える。経営者は、業転から借り受けた資金で「穴埋め」を行う事になる。

危険があり過ぎるため銀行が融資しない事業資金、また企業の不正を追求、脅迫して来た総会屋への支払い、政治家への不正な献金、脱税した企業利益を税務署からの調査中だけ業転に預け、6ヶ月後に返却してもらう等々の「利便性」を業転は持ってきた。

王将に限らず、出店数を急激に拡大させてきた飲食業には、取引銀行が出店の資金融資に難色を示すといった事態に直面した場合、こうした闇金融が経営危機を「援助」する結果となる。

また、莫大な利益を出した大企業が業転から石油化学製品を莫大に購入した事にし、利益を全て消費した形にし、課税を逃れ、定期的に事業資金として「小分け」に業転から払い戻しを受ける「先物契約」。

さらには、大企業が自前で非課税の宗教法人を作り、そこに利益を流し込み合法的に脱税し、宗教法人から業転へ資金を流し、最終的には「資金の行方」を分からなくする、あるいは業転という高利回りの「金融業者」に投資する事が影で行われてきた。

こうして、業転は日本の大手企業経営には、「無くてはならない」闇の日本銀行になって行った。

衆議院の突発的な解散、議員1名が突然辞職したために行われる補欠選挙等、突然必要とされる政治資金・選挙資金にも業転は「活躍」してきた。

業転は、全て実物の品物が伴わないペーパー契約となる。

もちろん非合法活動のため、正式な契約書は無い。

返済が滞れば、裁判で強制的に金を取り立てる事はできない。

かつての「怪人21面相」による、菓子製造企業グリコの社長誘拐による身代金請求、森永製菓製品への針混入等のグリコ・森永事件等、正式な契約書が存在せず裁判に訴える事ができない以上、貸付金の取立ては全て「非合法」な手段となり、その担い手は暴力団・ヤクザとなる。

その意味では、政界に参画し、また大手企業経営者となるためには、暴力団・ヤクザとの関わりを持たない「清潔さ」等は、有り得ない事となる。

契約書が存在しないため、闇資金からの借入金の総額が10億か12億かといった争い、利息が何%であったかという争いは、常に起こり、争いが激化すれば殺傷事件に発達する。王将の前社長・射殺事件のように、殺傷の危険性は常に付きまとう事になる。

殺傷事件が起こったので、「何らかのトラブルに巻き込まれた可能性がある」というのは日本の政財界の実態を隠すための宣伝文句に過ぎなくなる。「殺傷事件に巻き込まれる資金の、ヤリ取りの世界」と無関係では、政財界の上位には食い込めない。政財界のトップが殺傷事件に巻き込まれても、「その程度の事は、当たり前」というのが常識となる。

そして、猪瀬・東京都知事(前)のように権力闘争に負けた敗者について「だけ」、闇資金問題がマスコミによって叩かれる結果になる。「AとBの権力闘争において、Aが敗北したから政界を去る、と露骨に宣伝する訳にはイカナイ」ので、もっともらしい正義感が振りかざされ、闇資金問題で辞職する結果となる。

posted by 00 at 14:15 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック