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2008年07月18日

欧米・大富豪達の大好きな書物


書籍紹介 アイン・ランド 「肩をすくめるアトラス」 ビジネス社
       アイン・ランド 「水源」 ビジネス社




 欧米の、金融関係者の「バイブル」と呼ばれる、アイン・ランドのベストセラーである。

この長々しい数千ページを超える書物を、多忙な欧米の投資ビジネスマン達が、こぞって熟読すると言うのであるから相当な人気である。

著者のランド女史は、長い間、世界の金融界を「指揮してきた」アラン・グリーンスパンの師匠である。

ビルドウィングス・ロマン=知識・教養小説とも呼ばれる、登場人物達が延々と難解な哲学議論を続け様々に悩みながら自己成長と人間成長を遂げて行くという小説分野に、本書は属している。この長々しい哲学議論を要約すると、

「天才的な能力を持った経済人が世界の危機を救い、巨大な世界規模の企業コングロマリットを作り、世界を主導して行く」

という、一種の「天才信仰」である。

ニーチェの哲学書「ツラトゥストラ」を100倍程、水で薄め、金儲けの亡者達の「自己正当化」に使った愚論である。

「ツラトゥストラ」でヨーロッパ社会の深層にある天才待望を読み取ったニーチェが、その後、大著「権力への意志」で、やがてヨーロッパが「自称・天才」を標榜する独裁者のファシズム政権によって、戦火に巻き込まれる事を危惧し、哲学者としてヒトラーとムッソリーニの出現を予言・警告した、その危機感等、皮相なアイン・ランド、その弟子のグリーンスパン、そして欧米の金融家達と言った「知能指数の低い」人間達には、毛頭無い。

 中学生時代に、ニーチェ全集程度は読み、エミール・ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」全巻、アーダルベルト・シュティフターのビルドウィングス・ロマン、セオドア・ドライサーの「アメリカの悲劇」程度は読解しておかないから、こうした低脳が世界経済を混乱させる事になる。

その無知・勉強不足がサブプライム問題で、グリーンスパンの銀行ベア・スターンズが倒産の危機に陥る原因である。



posted by 00 at 11:57 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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